トラブルの原因になりやすいデジタル遺品とは?遺品整理の流れや生前整理の方法

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デジタル遺品とは、故人の所有していたデジタル機器に残るデータや、インターネット上にあるアカウントなどのこと。財産についてのデータもあり、放置すると後々トラブルに発展する可能性もあります。デジタル遺品で起こるトラブルや遺品整理の方法、デジタル終活について見ていきましょう。

デジタル遺品っていったい何?

デジタル遺品っていったい何?

親族が亡くなると、葬儀のあとは遺品整理をしなくてはなりません。遺品整理で近年トラブルになりがちなのが、デジタル遺品です。どんなものなのか、詳しく把握していきましょう。

知っておこう!デジタル遺品とは

デジタル遺品とは、故人の使っていたデジタル機器に残されたデータを指します。デジタル機器の中にはたくさんの個人情報が詰まっており、中には相続の対象となるものあるでしょう。遺族がアクセスできない場合には、相続トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。

デジタル遺品の種類1.オフラインデータ

デジタル遺品には、大きく分けて2種類あります。ひとつは、パソコンやスマホ、タブレット端末、ハードディスクなどに保存されている、写真や動画、メールアドレス、住所録といったオフラインデータです。手元に残るデジタル機器の中のデータなので、比較的確認しやすいでしょう。

デジタル遺品の種類2.オンラインデータ

もうひとつは、ネットサービスやSNSなどのアカウント、ネット銀行、ネット証券、電子マネーの取引履歴いったオンラインデータです。オンラインデータはインターネット上に分散している情報となるため、サービスを利用していることを知らないと見落としてしまうこともあるでしょう。トラブルの原因になりやすいのは、オフラインデータよりもオンラインデータの方が多いです。

知っておこう!デジタル遺品で起こりうるトラブル3つ

知っておこう!デジタル遺品で起こりうるトラブル3つ

デジタル遺品で起こりうるのは、どのようなトラブルなのでしょうか。3つの事例から確認していきましょう。

<データに関するトラブル>大事なデータが消える、流出する!

故人のデジタル機器の中には、個人情報をはじめとする大切なデータがたくさん入っています。デジタル機器をそのまま破棄・売却・譲渡してしまった場合、大事な写真などのデータが無くなってしまう、関わりのあった人の連絡先が消えてしまうなどのリスクがあるでしょう。そればかりか、最悪の場合、第三者に個人情報が流出してしまうこともあります。責任問題や大きなトラブルに発展する恐れもあり、知らなかったでは済まされません。

<契約に関するトラブル>契約が残って引き落としが継続!

故人が契約していた有料サイトや課金アプリなど、自動継続になるサービスを契約していた場合、そのまま契約が残ってしまうこともあるでしょう。基本的には、故人の口座を凍結することで、自動引き落としは回避できます。しかし、一律で停止することにより、故人の使っていたサービス上のデータが勝手に破棄されてしまう可能性もあるでしょう。また、SNSのアカウントをそのままにしておくと、乗っ取られたり、詐欺などに悪用されたりする可能性もあります。

<相続に関するトラブル>資産が把握できず相続手続きが困難に!

ネット銀行や電子マネー、仮想通貨などの取引の場合、全てネット上で完結しており、紙ベースの資料が残っていないこともあります。IDとパスワードが不明でアクセスできない場合、故人の持つ全ての遺産が把握できず、相続手続きが進まないこともあるでしょう。また、高リスクの取引を家族が把握しておらず、いつの間にか負債が膨らむこともあります。

デジタル遺品の遺品整理はどうする?

デジタル遺品の遺品整理はどうする?

インターネットが普及している現在、デジタル遺品はあるものとして遺品整理を進める必要があります。具体的な遺品整理の進め方を押さえていきましょう。

Step1.第一段階はパソコンとスマホのロック解除から!

第一のステップは、パソコンとスマホのロック解除。ここがクリアできないと、遺品整理が進みません。もしどうしてもロック解除ができない場合は、データ復旧サービスを行う業者に依頼するのもひとつの方法です。

Step2.メールやクレジットカードの明細をチェックしよう

無事にロック解除できたら、メールとクレジットカードの明細を確認し、契約状況を把握していきましょう。ネット銀行やネット証券などは、メールで情報が届いているケースが多いはずです。有料のサービス等はクレジットカードでの引き落としが多く、クレジットカードの明細で把握できることもあります。契約情報を探し出し、定額制サービスの解約や遺産の把握を進めていきましょう。SNSの利用があった場合は、アカウントの削除手続きも必要です。

Step3.スマホは解約、パソコンは初期化

確認ができ相続手続きも完了したら、スマホを解約しましょう。パソコンを破棄したり譲渡したりする場合は、必ず初期化してからの方が得策です。個人情報などが残らない状態にしておくようにしましょう。

デジタル遺品でやってはいけないのはこんなこと!

デジタル遺品でやってはいけないのはこんなこと!

よかれと思ってやったことが、NG行為である可能性もあります。やってはいけないことを、きちんと把握しておきましょう。

遺族で話し合う前に整理する

デジタル機器は相続財産の対象物となり、相続について遺族と話し合う前の段階では、法定相続人全員の共有財産です。事前に整理してしまうと、トラブルの原因になりかねません。相続財産の整理は、必ず話し合いしたあとにしましょう。なお、内部データへのアクセスは、アカウント保持者以外が行うと不正アクセス禁止法に触れる可能性がありますが、相続人であれば問題はありません。

デジタル機器をそのまま破棄・売却・譲渡

ロック解除ができないからといって、デジタル機器をそのままの状態で破棄・売却・譲渡するのもNGです。デジタル機器の中にある、あらゆる個人情報を悪用される恐れがあり、大きなトラブルの原因になることもあります。ロック解除ができない場合は専門の業者を頼りましょう。

不用意にパスワードを入力

思いつくパスワードを試してみるのもおすすめしません。最近のデジタル機器は、パスワードの上限回数が決まっているものも多く、連続で失敗するとロック解除不可になってしまうことも考えられます。場合によっては、データが強制的に削除されてしまうこともあるかもしれません。

相続トラブル回避のための生前整理!デジタル終活のすすめ

相続トラブル回避のための生前整理!デジタル終活のすすめ

不用なトラブルを回避するためには、生前整理としてデジタル終活しておくのがおすすめです。自分はもちろん、家族にもデジタル終活をお願いしておくことで、万が一のときの手続きがスムーズになるでしょう。

データ整理しアカウントとパスワードのリストを作成

他人に見られたくないデータは都度削除する、フォルダにロックをかけるなど、定期的に整理しておくのがベストですスマホとパソコンのロック解除パスワードは、何かあったときのために書き記しておきましょう。誰かに見られるのが不安なら、メモ用紙にパスワードのみを記載しておき、遺族が確認するだろう通帳や財布に挟んでおくだけでも問題ありません。

SNSアカウントやデータ管理の希望を書き残す

SNSアカウントを持っている場合、削除する、一定期間残すなどの希望を記しておくのもいいでしょう。SNSによっては追悼アカウントを設定できたり、死亡したということをアップしてもらったりすることもできます。データに関しても、削除するものと残して欲しいものを指示しておくといいかもしれません。

銀行口座やネットサービスの一覧表を作成

ネット銀行やネット証券など、契約している取引は一覧にして、アカウントやパスワードを残しておき、家族が分かるようにしておきます。お金のかかるネットサービスに関しても、記載しておくのがおすすめです。稼働していない口座は事前に閉鎖、もしくは残金を0にしておくといいでしょう。

デジタル遺品に困ったら遺品整理のプロに依頼しよう

デジタル遺品に困ったら遺品整理のプロに依頼しよう

「故人の契約状況が把握しきれない!」など、相続手続きが進まず困ってしまうこともあるはずです。そんなときに頼れるのが、遺品整理のプロ。どうしようもない場合には、依頼を検討してみましょう。

デジタル遺品整理をプロに依頼する方法もある

デジタル遺品の整理を業者に依頼する方法もあります。デジタル遺品整理をしているのは、基本的に、遺品整理を行う業者であることがほとんど。両方依頼すると割引になることもあるかもしれません。パソコンやスマホのパスワード解除やデータの取り出し、アカウント整理など、デジタル遺品全般を対象に、さまざまな依頼に対応しています。デジタル遺品はデータ量が多くパスワードがなければ対応できないため、手に負えないときは、早めに依頼するのがおすすめです。

優良な遺品整理業を選ぶために複数の業者で見積もりを

遺品整理業者全てがデジタル遺品にも対応しているわけではありません。業者ごとにオプションサービスや追加料金などの設定も異なるため、優良な業者に依頼するには、複数の業者で見積もりを出してもらうのがベストです。スタッフのサービス応対なども判断材料に、依頼する業者を決めるといいでしょう。

まとめ

個人情報が詰まったデジタル遺品は、トラブルの原因になることも少なくありません。遺品整理に際して、デジタル遺品にもしっかりと対処すべきでしょう。パスワードが分からない、契約状況を調べられないなど、手に負えないと感じたら、早めにデジタル遺品に対応している業者を頼るといいでしょう。