親の死後実家の片付けはどうすべき?手順やポイント、無人になった家の処分方法を紹介
親の死後、葬儀の後にやってくるのは、遺品の片付けです。遺品は相続にも関わるため、兄弟や身内で協力しながら進めなくてはなりません。また、親が一人暮らしだった場合、実家をどうするかという問題もあるでしょう。親の死後の片付けをどう進めたらいいのか分からないという人、必見です。
親が亡くなった実家の片付けはどうするべきなの?
親が亡くなると、葬儀の後には遺品の片付けをしなくてはなりません。どのように進めていくかは、故人の住居形態などによっても異なります。まず、親が亡くなった後の片付けをどうすべきなのか、確認していきましょう。
親の遺品の片付けは家族の有無によって異なる
遺品の片付けは、故人の住居形態や同居家族の有無によっても異なります。家族と同居している場合、遺品整理を迅速に進める必要はないため、悲しみが落ち着くまでそのままにしておいてもいいでしょう。一周忌や三回忌などの法事など、親族が集まる際に形見分けするものと処分するものを分類し、どこかで区切りをつけるのがおすすめです。
故人が一人暮らしをしていた場合、家が無人になってしまうため、遺品整理を早く進めなくてはなりません。家を手放すか、それともそのまま残すかなどを決めたうえで、遺品整理を進めていく必要があるでしょう。
片付けを行うのは基本的に相続人!兄弟や身内で協力しよう
親の遺品の片付けを行うのは、基本的に子どもや孫など、遺品を引き継ぐ権利のある相続人です。遺品の片付けをすると相続放棄が認められなくなることもあるため、相続放棄する場合は遺品に触れてはいけません。
遺品整理は大変な作業のため、相続人である兄弟や身内と協力して進めることとなります。遺品の片付けと同時に形見分けを進めるため、四十九日の法要で集まった際に遺品整理について話し合いの席を設けるのがベストでしょう。
実家の片付けは相続問題にも関わるところ!早めに済ませるのが吉
親の遺品は、思い出の品だけではありません。故人の金融財産には、相続対象となるものも含まれており、相続問題にも直結します。遺品整理と相続問題の関係性について押さえていきましょう。
まずは遺言書と相続財産に当たるものがあるか確認しよう
遺品の片付けを進めるその前に、遺言書の有無と相続財産に当たるものがあるかどうかを確認する必要があります。遺言書がある場合、内容を踏まえて遺品整理を進めなくてはなりません。故人の机の引き出しや金庫など、遺言書が納められているかもしれない場所を探してみましょう。
相続財産になるのは
- 現金
- 預金通帳
- 株式や債券などの有価証券
- 生命保険証券
- 土地や建物等の不動産
- 宝石や高級時計
- 金
- 年金手帳
- 絵画や書、骨董品などの芸術品
といったものが挙げられます。
トラブルを回避するためにも、相続人全員が集まっているときにみんなで進めるようにしておきましょう。
相続財産が高額の場合は相続税が発生することも把握しておいて
相続財産が高額になると、相続税が発生することも把握しておきましょう。個人の財産から非課税のものや債務・葬儀費用を差し引いた総額から、相続税を計算することとなります。相続税がかかるのは基礎控除を超えた金額だった場合で、相続する額に応じて税率や控除額が異なります。相続税の納税期間は、故人が亡くなってから10ヶ月以内です。
どうすればいいか分からない場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談するのもいいでしょう。
親の持ち物の片付け!どんな手順で進めるのが正解?
続いて、遺品整理の進め方です。やみくもに進めると時間がかかってしまい大変になるため、手順を全員で確認して慎重に行うようにしましょう。遺品整理の手順について、詳しく解説してきます。
STEP1.貴重品・重要書類を捜索
まず初めに、遺品の中から貴重品や重要書類などを探していきましょう。価値が高いというだけでなく、相続にも関わってくるため、早めに見つけ出しておくのがベストです。借用書など、負の遺産が出てくることもあり、すぐに見つかる場所に保管されてないこともあるかもしれません。棚や引き出しの中はもちろん、タンスや額縁の裏などに隠されていることもあります。
パソコンやスマホの中に取引の記録が残っていることもあるため、ロック解除できない場合、専門業者に依頼して確認する必要があるでしょう。
STEP2.範囲を決めて順番に片付ける
貴重品や重要書類を大方見つけ出したら、範囲を決めて順に片付けていきましょう。片付けを進めるメンバーとその箇所の整理を進めていきます。片付ける範囲が広いなら、部屋やフロアの担当場所を決め、それぞれ責任を持って片付けていくのもおすすめです。処分の基準をみんなで定めておけば、別々の箇所の片付けもスムーズに進めることができるでしょう。
STEP3.分別する
片付ける箇所に収納されているものを全部出し、残すものや処分するもの、形見分けするものなどに仕分けていきます。処分するものでも、一般ごみの他に業者に買い取ってもらえそうなものや特別な処分方法が必要なものなど、それぞれ処分方法が異なるはずです。処分するものをまとめて置いておくのではなく、処分方法の違いで分別しておくと、後が楽になるでしょう。
遺品整理のポイントはココ!
遺品整理は、思っている以上に大変な作業です。遺品整理を進めるにあたり、押さえておきたいポイントをまとめてみました。遺品整理を始める前に、きちんと把握してきましょう。
処分するものは家族全員で把握してトラブル回避
遺品を勝手に処分すると後々のトラブルの原因になることがあるため、処分するものは相続人全員で把握しておくことが大切です。処分すると思われるものをまとめたら、後で他の相続人に確認してもらい、残しておきたいものがないか確認します。
相続人全員が集まれないようなら、参加できない人に
- 欲しいものはないか
- 任せる代わりに文句は言わないこと
- 処分にかかる費用を分担すること
といった点を事前に確認しておき、了承を取っておくことで、トラブルになる可能性を回避しておきましょう。
前もって片付け計画をスケジュール化
遺品整理の前には、片付けのスケジュールを立てておくのがおすすめです。細かいスケジュールを立てる必要はありませんが、相続人全員が集まれる日には限りがあるため、スムーズに進められるよう、いつまでに終わらせるかを明確にしておきましょう。思うように進められないときに焦らないよう、予備日などを立て余裕を持ったスケジュールにしておくのがベストです。スケジュール化しておきたいのは、
- 片付けのために集まる日時や回数、完了目標期限
- 片付ける部屋や場所の順番
- ごみ収集の曜日
- ごみ収集センターの場所と営業日
- 処分費用の負担
といった項目になります。
分けしたものを置くスペースを確保
仕分けしてすぐに処分できるわけではないため、仕分けした荷物を一時的に置くスペースを確保しておくとスムーズです。残すもの、処分するもの、他の人に判断してもらう必要があるもの、リサイクルするものに仕分けしていきましょう。処分するものは外に置いておいても構いませんが、残すものやリサイクルするものは、家の中で保管しておかなくてはなりません。6畳分くらいの広さの仕分けスペースを用意し、それぞれの置き場所を決めておくのがベストです。
思い出のものも思い切って処分
写真やビデオ、手紙、日記など、故人の思い出の品を処分するのは勇気がいる作業ですが、全て取っておくのは難しいため、思い切って処分する必要があります。処分したくないものは写真に撮りデータで残したり、段ボールひとつ分などと定めてそこに入る分だけ残したりするなどするといいでしょう。全て処分してしまうのではなく、一旦残しておくことで、気持ちの整理もつけやすくなるかもしれません。
片付けが辛い、時間が取れない!遺品整理業者を頼るのも手
故人の思い出が詰まった遺品を整理するのが辛かったり、なかなか時間が取れなかったりする場合、遺品整理業者に依頼することもできます。遺品整理業者について、確認していきましょう。
遺品整理業者の仕事とは
遺品整理業者は、遺品の仕分けや不要なものの引き取り、部屋の清掃を請け負うのが主な仕事です。遺品整理にかかる作業をほとんど任せることができるため、時間がない、人手が足りない、遠方に住んでいるというときには、遺品整理業者を頼るのもひとつの手段でしょう。豊富な経験により貴重品の捜索も得意なので、なかなか見つけられないときは力を借りるのもおすすめです。
安心して依頼できる遺品整理業者のポイントは
普段関わりの少ない遺品整理業者は、
- 遺品整理の専門業者かどうか
- 企業理念を公開しているかどうか
- 代表者の顔写真や代表挨拶のページがあるかどうか
- 料金設定をきちんと提示しているか
- スタッフはきちんと資格を保有しているか
- アフターサービスが充実しているか
というポイントから、信頼できる会社かどうかを見極めましょう。
特に料金をきちんと公開していないと、どのくらいの額になるか分からず不安なので、ホームページで参考価格が掲載されているかどうかを確認しておきましょう。また、買い取りには古物商許可、廃棄物の運搬には家庭系一般廃棄物収集運搬許可、自社での配送には緑ナンバーや黒ナンバーの貨物車などが必要です。スタッフが資格をきちんと所持しているかどうかも判断材料のひとつになるでしょう。
誰も住まない実家、どうする?
親の亡き後実家が空き家になってしまう可能性もあり、その場合遺品整理と合わせて、家をどうするか決めなくてはなりません。空き家になった実家の処分方法について解説します。
空き家になった実家の管理方法は?
空き家になった実家の管理は相続人が行う必要があります。空き家になった建物はすぐに傷んでしまうため、売却やいずれ実家に戻ることを検討しているなら、建物がいい状態を少しでも維持できるよう、きちんと管理しておきましょう。
空き家の管理方法としては、月に1回程度、
- 換気
- 掃除
- 通水
- 雨漏りやカビの確認
- 庭木の手入れ
- 郵便物の整理
などを行うのが理想的です。
遠方で難しい場合は、近くに住む親類や知人を頼るか、空き家の管理サービスを行う業者に依頼し、しっかり管理しておいてください。
売却する場合、まずは不動産の名義変更から!
不動産の名義が故人になっている場合、売却する前にまず、不動産の名義変更手続きである相続登記を行わなくてはなりません。相続登記すべき期限や行わないことへの罰則等はありませんが、不動産の権利関係で何かしらのトラブルが発生した際に、自分の持ち物であることを主張できない可能性があります。相続登記には平均でも2~3ヶ月かかるため、売却することを決めたら迅速に手続きしておきましょう。
処分する場合の手続きの基本的な流れは
実家を売却する際は、
- 不動産会社の選定
- 2.不動産の査定
- 3.売り出し価格の決定と不動産会社への仲介の依頼
- 4.不動産の売り出し
- 5.購入希望者が出たら売却条件の話し合い
- 6.売買契約
- 7.不動産の引き渡し
という流れで進めていくのが基本です。
不動産の売却には、売却金額から売却にかかった費用を差し引いた残りの譲渡所得に対して、譲渡所得税や住民税が、不動産の買い主に所有権を移転させる際には、登録免許税といった税金がかかります。不動産会社によってはかかる税金の試算を行ってくれることもあるため、売却後に残る金額の目安を確認しておくといいでしょう。
まとめ
遺品整理をする機会はそう多くはないため、親の死後いざ遺品整理の段になると、何から手をつけたらいいのか途方に暮れてしまうこともあるでしょう。親の遺品の片付けは、相続問題にも大きく関わる大変な作業になり、時にはトラブルの原因になってしまうこともあるため、他の相続人と協力しながら慎重に進めていく必要があります。まずは親族間でしっかりと話し合いを行い、大まかなスケジュールを立て、ポイントを押さえた手順で片付けを進めていきましょう。