
急な親の死によって遺品整理をする必要があるのにも関わらず、何をすれば良いか分からないため、途方に暮れている人もいるのではないでしょうか。何も知らずに遺品整理を進めると、時間や費用が想像以上にかかってしまったり、さらには負債を抱えてしまったりといったケースも起こりうるのです。そこで今回は、親の死によって発生する遺品整理の内容や気持ちの変化への対応策、注意点などを紹介します。
親の死で直面!遺品整理ではどんなことをする?

親の死をきっかけとした遺品整理では、どんな方法があるのか紹介します。そもそも遺品整理とは、亡くなった方が生前に使っていた品物などを整理することです。人の死は突然訪れるため、いつ誰が遺品整理の役割を担うかは分かりません。突然の場合でも対応できるようにしっかり頭に入れておきましょう。
実家の整理
亡くなった人が、一軒家やマンションを購入している場合は、登記を変更したり住宅ローンの手続きをしたりする必要があるでしょう。また、その家に自分が住むのか、賃貸物件にするのか、売却するのかの判断をしなければなりません。賃貸の場合は、一般的に解約の手続きが必要になります。どういった契約内容になっているのかを確認して、手続きを進めていきましょう。
財産の整理
財産といえば、預金や株式などの有価証券をイメージする人もいますが、不動産や貴金属、骨とう品なども含まれます。親の財産の整理は、1人っ子でない限り、自分1人で勝手に行えません。兄弟姉妹や親族と相続の話をした上で、財産の権利を移す必要があるからです。勝手にしてしまうと相続で争うことになりかねないため、細心の注意を払いましょう。実際に相続問題が発生したことで、これまで仲の良かった兄弟姉妹がいがみ合うケースもあります。
荷物の整理
財産以外にも、これまで日用品として使っていた万年筆や時計、タンス、洋服などの荷物の整理もしなければなりません。これらの荷物は亡くなった人の形見にもなるため、処分には注意が必要です。財産の整理のときと同じように、兄弟姉妹や親族を交えて相談してから処分しましょう。自分にとっては不要な物に思えても、他の人からすると大切な思い出の品になる可能性があるからです。
気持ちが追い付かない!精神的に遺品整理できないときは?

人が亡くなったら遺品整理しなければならないことは分かるものの、「悲しみから立ち直れず整理する気になれない」「どれも思い出の品だから捨てられない」と思う人もいるでしょう。そういった場合に気持ちを整理する方法を考えていきましょう。
時間や場所に余裕があるなら気持ちの整理をしてから
遺品整理は、いつからしないといけないという決まりはありません。持ち家や倉庫などがあり、遺品を保管できる場所がある人や整理するのに時間をかけても良い場合は、気持ちの整理をしてから作業に取り掛かるのも1つの方法です。気持ちが落ちている中、無理に遺品を捨ててしまうと、後悔や悲しみばかりが膨らみ、さらにふさぎ込んでしまう可能性があります。遺品と向き合えるときが来たら整理を始めましょう。
形見分けするのも1つの方法
「遺品整理=処分」ではありません。処分や捨てるというと、嫌な気分になる人もいるでしょう。しかし、「形見分け」ならどうでしょうか?形見分けとは、亡くなった人の品物を思い出の品として、亡くなった人と縁のある人にプレゼントすることです。処分してしまうとこの世から消えてしまいますが、形見分けすればどこかで大切に保管されているという気持ちになり、少し心が温まる気がするでしょう。
悲しみを我慢しない
親の死に直面し、悲しみを我慢する人がいます。1人で抱え込むと気持ちが落ち込み、遺品を整理しようとする気が起きないなど精神的に負担がかかる場合もあるでしょう。家で泣いて感情を表現するのも良いですし、家族や友人に今の気持ちを聞いてもらい、「悲しい感情」を吐き出すことも大切です。そうすれば、抱えきれない感情を少しでも減らせるため、精神的な負担を軽減できるでしょう。
そもそも遺品整理をしないとどんなリスクがある?

悲しみから立ち直れず遺品整理が進まない人もいますが、中には、遺品整理するのが面倒だからという理由で放置している人もいます。遺品整理を放置すると、どんなリスクがあるのか見ていきましょう。
親族間でもめる原因に
遺品整理を放置して起こる最大のリスクは、相続の問題です。手続きが滞り、兄弟姉妹や親族ともめる可能性があるでしょう。日頃から交流を深め、それぞれにどういった意向があるのかを把握しておくと、連絡を取りやすいため、手続きがスムーズに進められます。
財産に気づかないまま権利消滅するケースも
財産は所有する人に権利があり、所有する人が分からない状態が続くと、権利が消滅するケースがあります。たとえば、生命保険の保険金請求の時効は3年間です。その他には、定期貯金などでも一定期間が経過すると払い戻しが受けられないケースもあります。このように財産によって権利消滅する時期が異なるため、財産をすべて見つけ出し、早期に手続きする必要があるでしょう。
固定費が引かれ続ける
固定費は日常生活において、電気やネット回線、新聞費用などたくさんあります。固定費の支払いは、口座振替にしているケースもあるため、口座凍結しない限り毎月自動引き落としされてしまうのです。預金されている財産を減らさないためにも、固定費の手続きは大切です。
金融商品で損失が増えることも
ネットで株式やFXをしている親が亡くなると、金融商品の運用はその後も続きます。すぐに手続きしておけばさほど問題なかったものが、放置したために損失が膨らむケースがあるのです。ただネット証券だと、お知らせが封書で届くことが少ないため、取引に気づかない場合もあります。日頃から、どんな金融機関と取引があるのかを話せていると良いですね。
空き家を放置すると災害の原因となる
家は、人が住まなくなると害虫が住みつき、他の家に被害が広がるケースがあります。ネズミが配線をかじって、火事が起こった事例もあるほどです。また、家の管理を怠っていると地震や暴風雨などの自然災害で、塀が倒れて、他の人に迷惑をかけるなどのリスクも生じます。さらには、空き家だからと放火の対象となる危険もあるのです。
遺品整理は自分でする?業者に依頼する?

遺品整理は、自分ですることもできます。ただ、荷物がたくさんある家庭やゴミ屋敷のようになっている家だと手に負えないと感じる人もいるでしょう。そういった場合は、業者に依頼するのもおすすめです。ここでは、遺品整理を自分でやるメリットやデメリット、業者に依頼する際のメリットやデメリットについて紹介します。
自分で遺品整理するメリット・デメリット
自分で遺品整理するメリットとデメリットは以下の通りです。
<メリット>
- 費用を抑えられる
- 丁寧に仕分けられる
<デメリット>
- 作業に時間がかかる
- 悲しみが増す
自分で遺品整理すれば、自分のタイミングで片付けができるため、思ったように作業できるでしょう。ただ、その分思いが強くなるため、処分に踏み切れず荷物が多いままというケースもあります。
遺品整理を業者に依頼するメリット・デメリット
業者に依頼する際のメリットとデメリットは以下の通りです。
<メリット>
- 短時間で作業が終わる
- プロなので安心して任せられる
<デメリット>
- 費用がかかる
- 業者によってサービスや料金が異なる
業者に依頼すると、その道のプロなので費用はかかりますが、効率的に作業して短時間で終わります。中には資格がないまま運営している業者もあるため、悪徳業者を選んでしまうと高額料金を請求されるケースがあります。しっかりと資格やサービス内容をホームページや口コミなどで確認して、相場を把握した上で見積もりをしてもらいましょう。
いざというときに困らないために生前整理しておこう

最後に、いざというときに困らないためにしておきたい生前整理について紹介します。どれも簡単な方法ばかりなので、親と兄弟姉妹、親族が集まったときなどに、話し合っておくと良いでしょう。
親や兄弟姉妹との話し合い
そもそも親の持ち物に関する話なので、親がどうしたいかを聞いておく必要があります。その際には、兄弟姉妹や親族を交えて、家族みんなで話し合っておくと食い違いが出ないのでおすすめです。
少しずつ物の整理
不要な物は捨てるなど、親を交えて少しずつ実家の整理をしておくと良いでしょう。高齢になると、体力の低下から掃除するのが難しくなったり、物を捨てるのがもったいないと感じたりすることがあります。そうすると物が増えていき、いざ片付ける際に大変な作業となる場合もあります。そういった話を共有して、親に納得してもらってから作業するとスムーズに進むはずです。
エンディングノートや遺言書の作成
人生の最期をどのように過ごしたいかを考えて記すのが、エンディングノートです。親が誰にどれだけ財産を残したいのか、どんな金融機関と取引があるのか、万一のときは誰に連絡してほしいのかなどを記入します。残った家族がもめないように、遺言書を作成しておくのも良いでしょう。エンディングノートや遺言書があれば、その人の思いを残せるのでおすすめです。
まとめ
いつ人の死に直面するかは分かりませんが、その後の手続きがスムーズにいくように準備することはできます。遺品整理に必要なことや気持ちの変化への対応策、注意点などを家族で共有しておきましょう。いざというときに困らないように、今できることを少しずつ始めると良いですね。