親の死で無気力になる人は多数!向き合うことの大切さを知っておこう

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死は誰もが経験することですが、いつ起こるのかまではわかりません。そのため突然身近な人の死に直面することもあるでしょう。特に親の死は、「順序的に親が先…」と頭ではわかっていても実際に経験するとショックが大きいものです。中には親の死によって無気力状態になってしまう方もいるようです。今回は身近な人の死への向き合い方や悲しみを乗り越える方法を紹介します。

親の死に直面して起こる変化にはどういうものがある?

親の死で無気力になる人は多数!向き合うことの大切さを知っておこう

人の死は、事前に予期していたとしても実際に経験すると、なかなか受け入れにくいものです。一般社団法人日本グリーフケア協会の方によると、身近な人の死に直面した日本人の悲嘆反応は、4つといわれています。「思慕」、「疎外感」、「うつ的不調」、「適応対処の努力」です。親の死や身近な人の死に直面すると、どういった心の変化や身体の変化が起こるのか考えていきましょう。

亡くなった人へ思いをはせる

「思慕」という反応は字のごとく、亡くなった人に思いをはせ慕う気持ちを表現します。日本人特有で、亡くなった人の気配を近くに感じながら悲しみから立ち直っていくようです。具体的には死後、仏壇やお墓の前で亡くなった人に話しかけたり、亡くなった人を思い出し懐かしんだりします。中には、亡くなった人が近くにいるように感じる人もいるようです。自分の近くからいなくなった寂しさや喪失感に慣れるために、心や身体が対応しているのでしょう。

誰にもわかってもらえないと周りにイライラ

「疎外感」として、変化が起こる人もいます。これまで仲間意識が高く、家族とのつながりが深かった人であっても、「この寂しさは自分にしかわからない」「何も知らないのに…」などと思い込んでしまう状態です。自分で周りとの関係を遮断してしまい、気持ちをわかってもらえないというストレスや苛立ちから、周りに当たってしまうこともあります。身近な人の死をきっかけに情緒不安定になり、周りとの関係に亀裂が入ってしまう場合もあるようです。

無気力になる

「うつ的不調」、「適応対処の努力」として表れる人は、悲しみから不眠や食欲低下、無気力などの症状となり、うつと同じような状態となってしまいます。

また、「悲しみから早く立ち直らなければ」と思いすぎてしまう場合もあるようです。過剰に頑張りすぎて上手くいかず、自分を責めて自信を失うといった負のループを繰り返してしまいます。それによって、心も身体も疲れてしまい、無気力や無関心となってしまう場合もあるでしょう。「うつ的不調」と「適応対処の努力」は、密接な関係にあるともいえます。

親の死で精神的に大きく左右されやすい人の特徴とは?

親の死で精神的に大きく左右されやすい人の特徴とは?

次に、親の死で無気力や無関心になるなど、精神的・身体的にダメージを受けやすい人の特徴を見ていきましょう。「自分は大丈夫」と思っている人ほど、意外とダメージを受けやすい場合もあるので、注意してください。

親子の結びつきが強い

日本人は欧米の人に比べて、親子間の結びつきが強い傾向にあります。欧米の人はどちらかというと、配偶者などパートナーとの結びつきが強いでしょう。最近は父親も育児に携わることが多いですが、以前は母親が育児に大きく関わっていたこともあり、母親の死への喪失感が大きいのも特徴です。また人は、無意識のうちに、親は自分より先に亡くなるというイメージがあります。親が亡くなると、次は自分も老いていなくなってしまう事実を突きつけられ、怖いと感じるのでしょう。

親友のような関係性

親友のような関係で、信頼関係を築けている場合は、特にダメージを受けやすい傾向にあります。親密な親子の場合、子どもの頃から良いところも悪いところも見せ合い、唯一無二の間柄といえるでしょう。そういった何でも気楽に話せ、共有できる関係の人を亡くす喪失感はとても大きいです。また、わかり合える関係の人がいなくなったからといって、すぐに代わりの人を見つけるのは難しいでしょう。この難しさがより、悲しみを増幅させてしまうのです。

同居の期間が長い

「同居の期間が長い」、「相談相手が親」など親に頼りがちの人は、ダメージを受けやすいでしょう。親と親友のような関係を築いている人は、比較的仲の良さを自覚しています。そのため、親がいなくなったら喪失感が大きいことは想定内です。しかし親に頼りがちの人は、知らないうちに親に依存している場合が多く、親がいなくなって初めて親の存在の大きさに気づかされるでしょう。

悲しみに向き合い立ち直るための方法

悲しみに向き合い立ち直るための方法

親の死を悲しむのは当たり前です。ただ中には、悲しみを表現するのは恥ずかしいと捉えている人もいます。無理に感情を抑えると、精神的にも身体的にも負担をかけてしまうでしょう。悲しみから立ち直るにはいくつか方法があります。その方法について考えていきましょう。

親の死という事実を受け入れよう

親の死を受け入れたくないために、現実逃避する人がいます。一時的に気持ちは楽になるでしょうが、現実的にいないことを改めて実感することで、より寂しさが増すでしょう。辛いことですが、親の死を受け入れ理解することが、身近な人の死から立ち直る近道となるのです。

無理に感情を抑え込まないようにしよう

特に日本人は、人前で泣いたり思い出にひたったりすることを、恥ずかしいと思っている人が多いでしょう。しかし気持ちを抑え、自分の中に抱え込んでしまうと、気づかないうちに心や身体に負担をかけてしまいます。人の死によって涙が出たり、急に亡くなった人のことを思い出し落ち込んだりすることは、全く恥ずかしいことではありません。むしろ当たり前のことです。自分の感情を無理に抑え込まず、その状況を受け入れた方が心や身体に負担をかけにくいでしょう。

周りの人に頼ろう

「自分のことを理解してくれない」などと、他の人に嫌悪感を抱く人もいます。しかし、そうやって自分の殻に閉じこもってしまうと、悲しみから抜け出せないだけでなく、サポートしてくれる友人や親戚が離れてしまう可能性もあるでしょう。友人や親戚のサポートで悲しみが和らぐこともあるので、周囲に頼るのも大切です。また、周りの人のやさしさから、そっと見守ってくれる場合もあります。助けが必要なときは、自分から伝えることも忘れないでください。

親の死の前にやっておけば良かった後悔エピソード

親の死の前にやっておけば良かった後悔エピソード

いざ親の死に直面した人が、「あの時やっておけば…」と感じた後悔エピソードを紹介します。誰しも大切な人が亡くなると、後悔がたくさん出てくるでしょう。今回紹介するエピソードを参考にして、少しでも後悔する芽を事前に摘んでおくと良いでしょう。

親ともっと思い出を作っておけば良かった

親孝行をするために、親との旅行を計画していた人がいました。ただ仕事が忙しく、親もまだ元気だから「また次回」と先延ばししていたところ、親が病気になり遠出ができなくなったそうです。最近は医療が発達し高齢化が進んでいますが、健康で自由に動き回れるには限界があります。仕事も大切ですが、後悔のないように、親との思い出作りも忘れないでください。

親の話をもっと聞いておけば良かった

高齢になると、何度も同じ話を繰り返してしまうものです。聞いている方からすると面倒で、つい「この前も聞いた」と話をさえぎってしまうこともあるでしょう。しかし話をさえぎられた方からすれば、「話を聞いてもらえなかった」「また繰り返してしまった」と落ち込んでしまいます。亡くなるともう会話はできないので、会話のありがたみを感じ、「あの時気持ち良く話を聞いてあげれば良かった…」と後悔する人もいるようです。

相続について話し合っておけば良かった

親は地方で暮らし、子どもは都会で暮らしているなど、会う機会が少ない家族にとって困るのが相続の話です。親が亡くなって相続手続きしようとすると、取引していた金融機関がわからず、手間取った人がいます。なんとか手続きを終わらせても、後日他の金融機関からの案内が届き、その金融機関とも取引があったことがわかったそうです。結果、遠方に住んでいるほど何度も行き来しなければいけなくなり、費用も時間もかかってしまいました。

本人の希望について聞いておけば良かった

人が亡くなると、葬儀やお墓、相続などさまざまな手続きが必要になります。特に葬儀やお墓は、決めることが多く何が正解なのかわかりにくいでしょう。子どもとしては、親が寂しくないようにと大きな葬儀をしても、実際には親は小規模の葬儀を望んでいるなど乖離が生じやすいのです。子どもの気持ちはわかりますが、本人の希望を叶えることが大切なので、生前に希望を聞いておくと良いでしょう。

遺品整理で困らないために…相続について考えておこう

遺品整理で困らないために…相続について考えておこう

最後に、親が亡くなったときの遺品整理で困らないために、相続について考えておく必要があります。ただ、死に関する話題なので、ネガティブに捉えがちです。そのため、どうやって話題を出すのか、どういったことを事前に準備しておくと良いのか考えていきましょう。

事前に親の気持ちや相続について話し合おう

いざというときに困らないために、事前に親の気持ちや相続について話し合う必要があります。葬儀やお墓のことなど、できるだけ具体的に話しておくと良いでしょう。そのためには、こまめにコミュニケーションをとり、どういった考えを持っているのかを把握してください。相続人間でもめないためにも、できるだけ、親族や他の家族を交えて会話しておくのがおすすめです。

エンディングノートは効果的

遠方にいてなかなか親族みんなが集まれないなど、コミュニケーションをとりづらい場合は、エンディングノートの活用も良いでしょう。エンディングノートとは、自分に万一のことがあったときに、周りの人に伝えておきたいことを書いたものです。延命措置のこと、取引先の銀行、連絡してほしい友人、葬儀の方法、お墓についてなどを書きます。法的拘束力はありませんが、本人の希望を書いているので1つの判断材料にはなるはずです。

エンディングノートを話しづらければ、「先日友人にいわれて自分も書こうと思ったんだ、一緒にやってみない?」などと切り出すと話しやすいでしょう。

断捨離をしておくのも話すきっかけになる

親にとって断捨離は、思い出の品を処分するように感じて、抵抗があるかもしれません。しかしそれがきっかけとなって、一緒に片付けながら思い出話や意向が聞ける場合があります。無理やり断捨離するのはやめた方が良いですが、帰省したときに少しずつ掃除がてら始めるのがおすすめです。断捨離は親のためでなく、自分の心構えにもつながるでしょう。

まとめ

親や身近な人の死に直面したときに大切なことは、現実をしっかり受け止めることです。事実を受け入れしっかり悲しむことで、前を向いて進みやすくなるでしょう。時を経ても亡くなった人を忘れることはありませんが、思い出と一緒に生きていけるので、生きているうちに後悔のないようにたくさん話し、思い出を作っておいてください。