遺品を売るときに必要なことは?かかる税金や売却方法を徹底解説

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大切な人の遺品を処分することに抵抗を感じる人は多いでしょう。しかし、思い出が詰まっているけど使わないものは残しておけない…という悩みも聞くことがあります。大量の洋服など自分では処分しにくい遺品がある場合、売ることもひとつの方法です。今回は、遺品を売るときのポイントを詳しくご紹介します。

遺品が遺産になる場合も!整理するときに確認することは?

遺品が遺産になる場合も!整理するときに確認することは?

価値のある品物が遺品の中に含まれている場合があるため、身内の遺品だとしても個人で勝手に処分せず、誰かと相談や確認をしながら整理すると良いでしょう。遺品整理時のチェックポイントをピックアップしました。

遺品は勝手に処分してはダメ?遺言書を確認

遺品にあるのは思い出だけで、財産とは関係ない…と思っている人は、遺品整理の際に、注意しましょう。遺産というと現金や株券、不動産など価値が分かりやすく、お金にも代わるものというイメージがある一方で、遺品は故人が生前所有していた衣類や雑貨であり、価値が無いと思われがちです。

ところが、残されたスニーカーはプレミア付きの限定品だった、タンスに眠っていた着物は高級品だったなど、本人にしか分からないような値打ちのあるものが隠れている場合もあります。多くの遺品がある場合には、整理する前に遺品の価値や分与の方法などが記載されている可能性を考え、遺言書の有無を調べると良いでしょう。民法で定めた要件が整っている遺言書なら法的な効力があり、相続の際にも必要な資料となります。

遺品の整理は誰に相談する?相続とは

遺産には法的な相続手続きが必要で、遺品も同様の法律が適用されるため、整理するときには故人の配偶者や子ども、兄弟姉妹など財産を引き継ぐ権利のある法定相続人との相談が肝心です。遺品の中に価値のある物品があったにも関わらず、相続人に確認せず処分してしまったとなるとトラブルに発展する可能性もあります。

法定相続人には優先順位があり、親族であっても相続できない人がいる上、遺産分与の際には法定相続分という基本的な指針があり、誰がどのぐらい相続するかが法律で決められています。

遺品についてはまず、常に相続人となれる配偶者や相続順で上位にあたる故人の子どもに相談すると良いでしょう。遺品は財産であるため、故人に借金があるからと相続を放棄した場合は処分する権利もなくなり、勝手に売却などを行うと財産を相続したと判断されて負債を抱えるケースもあります。

遺品には税金がかかる?課税対象の物はコレ!

遺品には税金がかかる?課税対象の物はコレ!

遺品に故人の財産としての価値があると、売却して収入を得ることによって課税対象となります。では、どのくらいの売却価格から税金がかかるのでしょうか?免税や控除も含めて確認してみましょう。

高価な遺品は売ると税金がかかる

国税局では、遺品の中で指輪などの貴金属や高級時計など、1点あたりの売却価格が30万円を超えると課税対象になるとしています。一般的に高価な遺品を遺産として相続すると相続税が必要です。価値のある遺品でもそのまま使うのであれば相続税を支払うだけで良いのですが、売ると譲渡所得の対象となり税金を払わなければなりません。

譲渡所得とは、特定の財産や権利など故人から引き継いだ遺品を、売却して得た利益のことで、土地建物や株式以外の遺品は総合課税の対象です。給与などの遺品で得た収入以外の所得と、譲渡価額(遺品の購入費+遺品を売るためにかかった費用)-50万円によって求められる金額を合計し、所得税法に規定された累進税率をかけた税金がかかります。

条件を満たせば免税になることもある

通常、税金の計算には控除というルールがあります。遺品を売るときの課税も同じで、総合課税対象の譲渡所得を求める式にある、50万円は特別控除額です。特別控除は、1点分の遺品売却額ではなく遺品を売るときに発生した合計額に対して適用されます。

1点30万円までは非課税であることを念頭に、遺品の時計を70万円、指輪を60万円で売ると時計70万円-30万円=40万円、指輪60万円-30万円=30万円となり、2点の合計額である70万円が課税対象です。ところが、合計額に特別控除額50万円が適用されると70万円-50万円=20万円。30万円以下であるため課税対象外となり、税金が免除されます。

非課税となる遺品と税金のかからない特殊ケースとは

遺品の中で、家具や衣服など通常生活に必要な物品は課税対象になりません。非課税対象には通勤用の自動車なども含まれるとされ、高い価値のあるブランド品の自転車でも税金がかからない可能性があります。

また、遺品を売るときに収入を得た場合に、特別控除の適用以外で非課税となるケースも。遺品を売却したお金を、国や地方公共団体に寄付した場合や、国税庁長官の承認を受けて、公益事業を行う法人へ寄付した場合などです。資産がなくなり借金を返済することが難しい場合に、遺品の売却額などを担保として譲渡したときなどが非課税に該当しますが、いずれも特殊であるため、困ったときは税理士や税務署などに相談すると良いでしょう。

遺品を売るときにおすすめの方法は?

遺品を売るときにおすすめの方法は?

持っていても使わないだろうし、税金がかかっても遺品を売りたいという人もいるでしょう。遺品を売るにはどのような方法があるのかをご紹介します。各方法のメリットやデメリットを考慮して、遺品の整理を行いましょう。

遺品整理業者

遺品の整理には、専門の業者に頼む方法があります。自分では処理しきれない整理作業もまとめて頼めることが遺品整理業者のメリットです。しかし、場合によっては必要な物品まで処分されてしまった…ということも起こり得ます。スムーズに遺品整理を行うには、自分と業者が協力しながら作業を行うと良いでしょう。遺品を売ることも考えている人には、処分や回収以外に買取を行っている業者を選ぶことがおすすめです。

買取専門業者

貴金属やブランド品など、さまざまな品物の買取を行う買取専門業者。コレクターズアイテムや骨董品などの知識を持つスタッフも多いことが特徴です。宅配買取や出張買取など、店頭に足を運ばなくても遺品の査定が可能であるというメリットもあります。ただし、買取専門であるため、買取できない物品を処分してほしいと依頼したときには高額な費用を請求する業者もあるようです。古物商許可証などの資格を持っていることなどが、良質な業者を選ぶ基準になります。

リサイクルショップ

リサイクルショップは家具や本、業務用品などジャンルを問わず豊富な商品を取り扱う業者です。洋服なども買取っていますが、買取業者に比べて査定価格が低くなりがちで、遺品を処分するのと変わらない…と感じることも。ノーブランドの物品など価値の分からないような遺品を売るには適している業者でしょう。たくさんの遺品をまとめて売りたい場合は、出張買取などを利用すると良いです。

個人売買

遺品整理には、ネットオークションやフリマアプリを活用して個人で売るという方法があり、自分の希望価格で遺品を売却できることが特徴です。ただし、梱包や発送にまつわる手続きを自分で行わなければなりません。他にも、物品の状態や配送中の事故など、購入者とトラブルが起こった場合も自分で解決する必要があります。デメリットもいくつかありますが、個人売買の魅力は、遺品の中にコレクターにとって希少価値が高い物品があった場合、業者に頼むよりも高値で売れる可能性があることでしょう。

遺品をなるべく高く売るコツ

遺品をなるべく高く売るコツ

遺品を手元に残さず売るのなら、できるだけ高く売りたいと思う人は多いでしょう。長年使っていないような物品でも、コツやタイミングを掴めば高値で買取ってもらえることがあります。遺品にありそうな物品に絞って、高値で売るコツを見ていきましょう。

時計

ブランド物の高級時計は価値が下がりにくく、高値が付くことが多い物品のひとつです。時計は、ケースや保証書の有無が査定に大きく影響します。遺品の中にブランド時計があった場合は箱までしっかりと探し、見つけた場合は、査定時に時計と一緒に提出しましょう。また、時計本体が汚れているときはキレイに拭き取り、新たなキズをつけないような注意が必要です。複数の業者に査定をお願いして価格交渉することも、より高値で売る方法のひとつです。

指輪などのアクセサリーや貴金属

指輪やネックレスなどのアクセサリーや貴金属も、高価で買取ってもらえる可能性があります。有名ブランドの商品と分かる遺品があれば、ジャンル別に売ると高値が付きやすいでしょう。買取業者にも得意分野があります。特定のブランド品は、そのブランドの査定を主に行っている業者に頼むことが高値で遺品を売るコツ。ノーブランドの物品は、貴金属としてまとめて査定に出すと高価買取されるためおすすめです。

着物や洋服などの衣類

着物は、素材や織られた年代などによって価値に差があります。リサイクル衣類としてまとめて売ると高値が付きにくいため、1枚ずつきちんと査定してくれるような、着物専門業者に依頼しましょう。他の衣類も、シーズンによって売れる値段が変わります。春物は1~3月、秋物は8~9月など、一般的に必要となる季節より少し前に売ることがおすすめ。毛玉を取っておく、襟や袖の汚れを取り除いておくなど、できるだけキレイにして査定に出すことも高値で売るコツです。

家電製品

遺品の中では、家電製品も売る対象になりやすいでしょう。中でも、スマホなどは需要が高く、新しい機種であれば高価で取引される物品です。専門業者に頼むと、故障していても買取ってもらえることがあります。家電製品は汚れやすいところに置いてある場合が多く、画面の汚れや焦げ付きなどもしっかり取り除いてから査定に出しましょう。遺品のスマホやパソコンなどを売る場合には、個人情報の漏洩を避けるため、分かる範囲で消去しておくと安心です。

まとめ

遺品は故人の好みで購入されている場合が多く、自分では使えないこともあります。思い切って売ることで、自分では価値を見出せないものを、大切に扱ってくれる人に届くこともあるでしょう。遺品整理に困っているなら、相続人などと相談し、きちんと査定を行ってくれる業者に売ることも検討してみてください。