身内が孤独死!発見後の流れから葬儀、後片付けについて解説
近年の家族形態の変化により、1人暮らしをする人が増えています。そこで懸念されるのが孤独死です。身内が孤独死してしまった場合、その後の手続きや葬儀までの流れはどのようになるのでしょうか。遺族としてどのように対応すればいいか、きちんと確認しておきましょう。
孤独死の発覚!その後の対応は
身内の孤独死が発覚した場合、その後はどのような流れで手続きが進んでいくのでしょうか。まずは、孤独死発見後の流れから押さえていきましょう。
孤独死の発見
離れて暮らす身内を訪ねた際に、家で倒れているのを発見し、通報する立場になるケースもあるかもしれません。明らかに亡くなっている場合は、どうして死亡するに至ったのかを把握するため、まずは警察に連絡する必要があります。遺体や部屋の中のものをむやみに移動させてしまうと、何らかの事件性があった場合に疑われてしまったり正しい調査ができなかったりすることもあるため、現場は必ずそのままにしておきましょう。
倒れており動かないけれど亡くなっているかどうか判断ができないという場合は、すぐに救急車を呼び、救急隊の隊員に生死確認をしてもらいます。事件性があると判断されれば、警察を呼ぶ運びになるでしょう。
警察による現場検証
まずは孤独死の原因を確認するため、警察による現場検証や家宅捜索が実施されることとなります。事件性がないと判断されるまで、家族であっても現場である故人の家に立ち入ることはできません。現場検証や家宅捜索の間は、現場にある金品をはじめとするものは一時的に没収される形となることも知っておきましょう。
遺族への連絡と身元確認
身分証明書などにより遺体の身元がはっきりしたら、親子・兄弟・親戚と、故人と血縁の近いところから順に連絡が入ることとなります。近しい親族が見当たらない場合、2親等、3親等まで連絡が受けるといったケースもあるようです。身元が判明するまでの間は、保管庫で安置されることとなり、1泊2,000円程度の安置費用は後日遺族に請求されます。
警察が遺体を引き取る場合・引き取らない場合
孤独死で警察が遺体を引き取るケースと、引き取られないケースの2通りがあります。どんな時に遺体が引き取られることとなるのか、そしてその後はどのような流れになるのか、詳しく確認していきましょう。
警察が遺体を引き取るのは検視のため
検視が必要と判断された場合、警察に遺体が引き取られることとなります。検視とは、医師や検察官などにより身元確認や犯罪性の有無をチェックされることです。病院で死亡した場合は、医師により死亡診断書が発行されますが、以下のような死亡診断書が発行できないようなケースに置いては、検視をしなければなりません。
- 事件性がある
- 孤独死
- 事故死
- 災害による死亡
- 自殺
- 孤独死
結果事件性がないと判断された遺体は医師に引き渡され、死因や死後経過時間を判断、死体検案書の作成という流れです。原則として、遺族であっても検視を拒否することはできません。
遺体が引き取られないのは
遺体が引き取られないのは、病気による死亡だと判断された場合です。自宅で亡くなっていた場合でも、かかりつけの医師により、死亡の原因が持病によるものだと診断されれば、検視は必要ありません。
検視の結果遺体が解剖されるのは
検視の結果、遺体が解剖されるのは、事件性がある場合と死因が不明である場合です。解剖には、以下のような種類があり、孤独死で解剖が行われるのは、どうして死亡に至ったか分からない場合に遺族の承認を得て実施される行政解剖がほとんどです。
- 事件性のある遺体に対する<司法解剖>
- 事件性はない遺体に対する<行政解剖>
身元の確認が取れない、遺体の損傷が大きいといった場合には、DNA鑑定により故人の特定をしていくこととなります。
警察から遺体を引き取るまでは葬儀などはできない
警察による検視が行われる場合、死体検案書が作成されるまで遺体は警察署預かりとなり、遺体を引き取ることができるまで、死亡届を提出したり葬儀を執り行ったりすることはできません。孤独死発見から遺体を引き取るまでの日数は、事件性がなければ半日~数日程度、検視が実施される場合は、10日~2週間程度となっています。DNA鑑定となった場合には、1ヶ月程度となかなか引き取ることができないこともあるようです。
警察からの連絡のあと、遺族がすべき流れは
警察から孤独死の連絡を受けた後、遺族はどんなことをすべきなのでしょうか。孤独死連絡の、その後の流れを見ていきましょう。
警察に出向き説明を受ける
警察署から身内が孤独死した旨の連絡を受けたら、故人の自宅がある管轄の警察署に出向き、死亡時の状況について説明を受けることとなります。身元確認のために、「印鑑」や「故人との関係性が分かる戸籍謄本や住民票」を持参しておくと手続きがスムーズです。
このあと、検視の実施などにより犯罪性がないと判断されてから、遺体の引き渡しとなります。警察の許可なしには、故人の自宅に入ることも貴重品を受け取ることもできません。
葬儀についての打ち合わせ
遺体の引き渡しまでの期間に、葬儀を執り行うのか、それとも火葬のみにするかなど、葬儀についての相談や打ち合わせを進めておきましょう。孤独死の場合の葬儀でも一般的な葬儀と同じく、喪主を決め葬儀を行うという流れです。火葬は故人の住民票のある地区でするのが一般的で、他の地域へ移動して行う場合は運送費用等が発生し別途料金がかかるため、葬儀社としっかり相談してください。
また、葬儀社によっては孤独死の葬儀がお断りされる可能性もあるため、最初から伝えたうえで打ち合わせを進め、トラブルを未然に防ぎましょう。
孤独死の状況次第では専門業者に清掃を依頼
遺体の損傷により部屋が汚れてしまった場合、通常の掃除では対応できないため、孤独死現場清掃の専門業者に依頼する必要があります。死亡して時間が経過している場合、ひどい状況であることも十分に考えられるでしょう。特殊清掃業者が行う作業としては、特別な方法や薬剤による部屋の消臭・消毒などで、会社によっては不要な家財道具の引き取りやリフォーム、家の解体まで行ってくれるところもあります。
賃貸物件であれば、まずは大家さんや住宅管理会社に対応方法を相談してみましょう。警察の入室許可が下りてすぐに特殊清掃、それから遺族の入室という流れがベストのため、早めに特殊清掃業者を選定しておくのがおすすめです。
葬儀後にすべき各種手続
葬儀が終了しても、それで終わりではありません。葬儀終了後の手続きについて見ていきましょう。
葬儀終了後にする各種手続き
葬儀が終了した後に故人の契約していた、公共料金や保険、年金などの解約や名義変更の手続きをする必要があるでしょう。この他にも、インターネット回線やプロバイダ、NHK放送、携帯電話、クレジットカードなどの契約があった場合、解除の手続きが必要になります。故人宅に届く明細書や契約書、通帳、家計簿などを確認し、故人の契約状況をしっかり確認しなければなりません。
不明点があるなら遺品整理業者に頼ろう
故人がどんな生活をしていたか把握していない場合、全ての契約を探るのは大変です。故人の契約状況が分からない場合は、遺族に代わって遺品の仕分けや片付け、処分、買取などを行う遺品整理業者を頼るのもいいかもしれません。遺品整理の際に領収書など、契約に関わると思われるものを探し出してくれるため、あとは遺族で契約解除の手続きを進めるだけ。特殊清掃業者が遺品整理業を行っているケースもあるため、併せて依頼するのもいいでしょう。
遺品整理業者の選び方は
普段あまりかかわることのない遺品整理業者は、どんな基準で選んだらいいのか分からないこともあるでしょう。中には遺品を不法投棄したり高額な請求をしたりする悪徳な業者も存在するため、慎重に見極める必要があります。遺品を大切に扱ってくれる遺品整理業者を選ぶため、以下の点をチェックしましょう。
- ホームページの分かりやすさ
- 口コミ情報
- 電話対応の雰囲気
- 訪問見積もりの有無
- 見積書の作業内容と料金が明確か
- 追加料金についての記載の有無
いくつかの会社に見積もりを依頼し、比較検討するのがおすすめです。
- <廃棄物の処理>一般廃棄物収集運搬業許可
- <遺品の買取>古物商許可証
- <形見分けなどの配送(郵送)>一般貨物自動車運送事業許可
など、業務に必要な許可や届出をしているかどうかもチェックしておきましょう。
まとめ
一人暮らしの身内がいる場合、孤独死のリスクは年齢を問わず付きまといます。突然の訃報に気が動転する中、たくさんの手続きを進めていくのは肉体的にも精神的にも大変です。親族はもちろん、特殊清掃業者や遺品整理業者など、外注できるところはできるだけ業者を頼り、最小限の負担で進めていけるといいのではないでしょうか。