老人ホームに入る前の準備とは?家族のためにしておくべき生前整理
老人ホームに入る前には、手続きはもちろん準備すべきことがたくさんあります。介護施設に入るのをきっかけに、生前整理をする人も多いようです。遺品整理で家族が困らないよう、少しでも元気なうちに生前整理しておくのがベストです。老人ホームに入る前の準備について詳しく把握していきましょう。
老人ホームはたくさんある!介護施設の種類と特徴は
一口に老人ホームと言っても、その種類は多岐にわたります。まずは、生前整理をする前に介護施設の種類やそれぞれの特徴について見ていきましょう。これから施設を検討している人は、把握しておくと参考になります。
特別養護老人ホームや老人保健施設などの公的施設
国、地方自治体、社会福祉法人が運営しているのが、公的な介護施設です。国のサポートを受けて設立されているため、費用が安いのが大きな特徴となっており、経済状況によっては補助金が出ることもあります。
公的な介護施設には、以下のものがあります。
- 特別養護老人ホーム…要介護3以上、日常の生活支援と介護サービス
- 介護老人保健施設…要介護1以上、65歳以上、3ヶ月ごとに入居・退去を判断する
- 介護療養型医療施設…専門的な医療が必要な要介護1以上の高齢者向け
- ケアハウス…要介護3程度までの60歳以上、一般(自立)型と介護型の2種類がある
それぞれ介護レベルや病状などにより、利用できる施設が異なります。
有料老人ホームなどの民間施設
民間企業や医療法人などにより運営されているのが、民間の介護施設です。公的な介護施設よりもサービスの幅が広く、料金も施設によって大きく異なります。
民間の介護施設の代表的なものは以下の通りです。
- 介護付き有料老人ホーム…24時間本格的な介護や生活支援、介護専門型と混合型の2種類
- 住宅型有料老人ホーム…生活支援中心、介護サービスは外注
- 健康型有料老人ホーム…自立できる高齢者向け、健康維持のための設備が充実
- サービス付き高齢者向け住宅…自立できる高齢者~要介護3くらいまで、生活支援、賃貸形式
- グループホーム…要支援2~要介護5までの高齢者向け、介護ケアやリハビリ指導などで自立を促す
目的によって選択することができます。
老人ホームへの転居、準備するものは
今の住所から老人ホームへ転居する場合、どんなものを準備する必要があるのか確認していきましょう。なかには持ち込めないものもあることを知っておくと慌てずに安心です。
どの施設も共通の準備物
どの介護施設においても必要になるのは、以下のものです。
- 衣料品
- 日用品(歯磨きや入れ歯など)
- 貴重品(健康保険証・介護保険証・マイナンバー・印鑑など)
貴重品は本人の管理が難しい場合、施設や親族が管理することもあります。
入居後自宅に戻る施設の場合の準備物
一時的な入居で、回復後自宅に戻る可能性がある場合は、施設で必要なものは用意されているため、衣料品と日用品があれば問題ありません。スペースが限られているため、多くのものは持ち込めないケースが多いでしょう。生活において必要なものだけ用意し、極力荷物は少なめにしておくのがおすすめです。
入居後自宅に戻らない施設の場合の準備物
入居後自宅に戻らない有料老人ホームなどの場合、転居するのと同様、布団やベッド、家電を用意する必要があります。今現在自宅にあるものがそのまま使える可能性もありますが、部屋のサイズによっては小さめのものを買いそろえなくてはならないこともあるでしょう。
施設に持ち込めないものは
施設に持ち込めないものは、居住スペースに入らないようなサイズのものです。集団生活を乱すと判断されるようなものは、持ち込めないこともあるかもしれませんが、基本的には規制はありません。有料老人ホームの中にはペットを飼うことを許可している施設もありますが、ペット同伴禁止の施設がほとんどです。ペットを飼っている場合は、親族に預けたり里親を探したりしておく必要があるでしょう。
老人ホーム入居の前にすべきことは
老人ホームへの入居が決まったその後にするべきことは具体的に何があるのでしょうか。老人ホームへスムーズに入居するために、ここでは入居前にしておくべき3つを紹介します。
部屋の片付け
入居前の部屋の片付けはマスト事項です。一人暮らしなら施設に持ち込むもののみ残して全部処分、同居の場合でもある程度整理しておくのがいいでしょう。ただし、盆や正月のみでも帰る機会がある場合は、帰ってからくつろげるよう、最低限のものは残しておくと安心です。
住所変更の手続き
短期入所が原則の施設は住民票の移動はできませんが、これまで住んでいた場所を引き払って特別養護老人ホームや、有料老人ホームに入る場合は、住民票を移転する必要があるでしょう。引き払っていない場合でも、施設によっては住民票を移転しなければならないこともあります。
同一市町村なら特に問題はありませんが、自治体が変わる場合、独自のサービスを受けられなくなる可能性もあるでしょう。入居先で死亡した場合、火葬は基本的に住民票の場所で行うこととなり、別の自治体での火葬は給付が受けられないこともあるようです。住民票の移転を決める必要があるなら、自治体が変わることで起こりうるトラブルも視野を入れて検討するようにしてください。
近隣への挨拶
知り合いや近隣に住む顔見知りの人に、施設への転居を伝え挨拶しておくのがおすすめです。施設に入居するとこれまで通りの交流が難しくなるため、事前にきちんと伝えておきましょう。
老人ホームに入居する前にしておきたい生前整理
それでは、老人ホームへ入居する前にしておきたい、生前整理について見てきましょう。生前整理の必要性と方法について紹介します。整理のポイントを押さえておきましょう。
本人が生きているうちに生前整理しておくのがベスト
残された家族のため、老人ホーム入居前に生前整理しておくのがおすすめです。何も整理せずに亡くなった場合、遺品整理には大変な労力がかかりますが、生前整理しておくことで、本当に残したいものが把握しやすくなるでしょう。
生前整理をするためには、ある程度の体力が必要になるため、元気なうちにしておくのが一番です。老人ホームへの入居も、生前整理をするひとつのきっかけになるでしょう。自分の思い出を整理することができ、老後の生き方を考えるきっかけにもなるはずです。
生前整理①不要品を処分
遺品整理となると家族も何を残すべきか判断するのは難しくなってしまうため、生前整理として、まず不用品を処分しましょう。どれもこれも捨てにくいということもあるかもしれませんが、残したいかどうかで判断するのがおすすめです。
不用品をまとめると、必要なものも見えてくるはずです。必要なものをまとめて、家族に分かるようにしておきましょう。
生前整理②財産目録をまとめる
保有している財産は、すべて一覧にし、所在を明らかにする財産目録を作成しておきましょう。
財産目録が用意されていれば、残された家族も困りません。現金や土地、車、株の他、骨とう品や宝石も相続の対象になるので、記載漏れがないようにしておきましょう。生前贈与なら税金が少なくて済むこともあるため、専門家に相続の相談をしておくと安心です。
生前整理③遺言書を残す
財産は基本的に法律に決められた通りに分配されるため、遺産分割に関する意向がある場合は遺言書を残しておきましょう。遺言書には形式があり、形式通りでないと無効になることもあるため、専門家に相談して作成してください。
まとめ
老人ホームには比較的安い公的施設や値段の幅が広い民間施設など、さまざまな種類があり、利用できる対象も介護レベルによりそれぞれ異なります。
老人ホーム入居前には手続きはもちろんのこと、準備するものもたくさんあり、慌ただしくなることもあるでしょう。老人ホーム入居は生前整理のきっかけとなるケースも多いため、入居の準備と合わせて身の回りのものを今一度見直してみてはいかがでしょうか。